2004/07/07

常識について

 最近、常識について考えることがあります。
常識とは、ある辞書によれば、
ある社会で、人々の間に広く承認され、当然もっているはずの知識や判断力。

となっています。
 なんだか、とても普遍的なもののような錯覚をしていますが、実は“ある社会”に限定されたものです。常識は、国や地域によっても異なるし、ある家庭の中でしか通用しないようなものもあります。時代によっても変化するし、常識だったものが、まったくの非常識に変わってしまうことさえあります。

 建築設計の仕事をはじめた頃、知識がないためにあらゆることが不安でしたが、一番気になったのは“この部分は常識的にはどうするのが良いのか?”ということでした。上司に相談すると、明確な答えが返ってくることもありましたが、ほとんどの場合は“ケースバイケースで設計者がその都度判断して決めている”という答えでした。
 “そんなもんかなぁ”とか“もう少し親切に教えてくれたら良いのに”などと思ったものでしたが、知識もそれなりについてきて、いろいろなことを自分なりに判断できるようになってきた今、あの答えは真理だったんだなぁと思えます。

 常識論や正論を振りかざすのは、ある意味“逃げ”の手法であって、まことしやかに信じられたり論じられている“常識”にとらわれず、ひとそれぞれが個別の知識の中で判断を行い意見をぶつけ合える状態が、もっとも健全な状態なんだなぁ。

[Society]


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