2008/07/21

「崖の上のポニョ」を観るまえの感想

公開まえにジブリから発信された情報とか、もうみた人の感想とかを読んでの感想です。

宮崎監督の話の中に「アニメーションの原初に立ち返りたかった」「CGを使わずに手描きにこだわった」「水の動きの表現を突き詰めたかった」ということがありました。そのことばの意味はわかっても、公開まえのフラッシュ映像だけではその結果どんなものになったのかわかりませんでした。

試写を見たラジオDJの感想には「ストーリーはいまいちピンとこなかったけど、とにかく絵がすごいから絶対見たほうがいい」というものがありました。これもよくわかりませんでした。こりゃ見ないほうがいいかなぁとも思いました。

ストーリーに関しては、声優を務めた山口智子さんが「とてもシンプルでかわいいラブストーリー」だと言っていました。なるほど、先の見えない閉塞感に包まれたこの時代には、かえって必要なのかもしれません。

で、今日、こんな文章を読みました。

これで一気に「見なきゃ!」となりました。重要なのはここだゼ!

車が走る。魚が泳ぐ。大きな波が押し寄せる。こうした動きのひとつひとつに、アニメーションならではの「絵が動くことの快楽」が凝縮されており、どうしても目を見張ってしまう。

以前「絵のパワー」という文章を書いたことがありますが、宮崎監督が言っていた「アニメーションの原初」とはつまり「絵が動くことの快楽」だったのでしょう。それで「手描きにこだわった」のでしょう。だって、とまっててもスゴい感動を与える「絵」が「動く」んだからスゴいに決まってます。それで考えてみると、CGにもスゴいところがあるんだけど手描きのアニメーションのスゴさとはかなり質が違うことに気づきます。

建築の仕事をしていても、最近はCGで完成予想パースを描くことが多くなってきています。それなりに簡単にできるのは確かなんですが、それをみた人は実際にかかる手間以上に簡単に出来上がっていると思う傾向があるようです。なんでもコンピュータがやってくれちゃうんでしょ?みたいな。コンピュータにちゃんとやってもらうために苦労してデータ入力してるのはオレだってゆーのに。

それが「これ全部手描きです」となったとき、ひとはその裏にある膨大な作業量をとても直感的にイメージすることができて、そこから熱い情熱みたいなものを感じたりして、描いてる姿とかイメージしたりとかして、そんなこんなで出来上がった「絵」に圧倒されるんだと思います。

観たあとの感想は、気が向いたら書くことにします。

2008/07/07

写真を複数枚並べることで生まれるなにかに可能性を感じずにはいられない。

そんなのとっくの昔にみんな気づいてて、とっくの昔からみんなやってることなのかもしれないけれど、僕は最近「あれ、なんだこの感じ。」って感じで気づいて、どんどんその魅力にハマっていっていて、もしまだそれに気づいていない人がいたら不幸なので紹介します。たとえばコレ。

2枚並べる場合には「Diptychs」という呼び方があるのかもしれません。呼び方はどうでもいいんですけどね。
同じシーンの「引き」の絵と「寄り」の絵の組み合わせだったり、同じ位置から別々な場所を切り取った組み合わせだったり、まったく無関係な絵の組み合わせだったり。縦に並べたり横に並べたり、半々に並べたり分量を変えてみたり、余白をつくってみたり。
そして注意深く並べられて出来上がったものを見ると共通して起こるのが、脳の中のある部分とある部分が無理矢理結び付けられてバチバチと火花を散らす感じ。忘れていた記憶を呼び起こされるような感覚。眠っていた感覚が叩き起こされる感じ。

最近僕が始めた Tumblelog で「Colored World」というのがあって、ここでは僕が過去にポストした写真などの中から「色」をテーマにして選んだものを気が向いたときに集めています。
ここでは、選んだ既存のテンプレートの仕様で AutoPagerize が効かなくて(どうもフッターのあたりをちょっと弄ればいいらしいんですが)それを逆手にとって(というか結果的にそうなっただけなんだけど)一度に3枚ずつの写真が表示されるようになっていて、横長の写真だと一度に3枚画面に現れます。
縦長の写真が入っているとマウスのスクロールホイールでグリグリやって見ることになります。3枚だとグリグリやって上へ行ったり下へ行ったりしながら、3枚のつながりやコンビネーションを楽しむことができると思います。
そしてそのときマウスのポインターは右サイドバーの「older」のところへおいておくと(ここは元のテンプレートをちょっと弄って写真をスクロールしてもサイドバーはスクロールしないようにしてあります)すぐに次の3枚を見ることができます。これでほぼ AutoPagerize いらず。

この3枚の組み合わせは、そのときのたまたまの組み合わせで、あとから追加した写真の枚数によってその組み合わせは変わってしまうし、またその組み合わせに戻ることもあります。

ポストするときには写真の並び方を意識することはなくて、ただ無作為に目についた写真を「色」という観点だけを頼りにポストしています。それをあとから見返してみたとき、思いがけない組み合わせに驚いたり、さっきの「無理矢理バチバチ感」を感じたりします。

故意でも偶然でもいいから、この「無理矢理バチバチ感」が起こるとことが重要なんだと、最近気づきました。