2008/06/24

ナガオカケンメイ

2・3日前に、録画してあった「情熱大陸」を見ました。ナガオカケンメイさんが登場しました。

まったく知らないひとだったんですが、見ていくうちに「スゴい仕事をしているひと」だとわかりました。すごく穏やかな物腰で表情も言葉も柔らかいんだけど、強固な信念に基づく強いメッセージを常に放っていました。そのメッセージはとても単純で「永く使い続けられてきたものには価値がある」ということだと思います。

そして「デザイナーのエゴ」というものについて考え直させられました。

そういえば最近こんなニュースがありましたね。

大阪の建築設計事務所に勤めていたころ、上司に「このデザインはおまえのエゴだ。」と言われて、「多かれ少なかれ、デザインなんてエゴがなくちゃできないですよ。」と楯突いたことがありました。そしてたしか、そのまま押し通してしまったような気がします。

さまざまな与条件を満たしながら物事を一つのところへ収束させるためには、設計もしくはデザインする人が自らの力量に自信を持ち、客先との強い信頼関係に基づきながら、最終的にはある程度エゴイスティックに決めてしまうしかない部分があることは否定できないと思います。

でも、売れてるデザイナーが完全にお任せ状態でノリノリな感じで量産するプロダクトが、まれに完全なエゴの塊になってしまうことがあると思います。

自分がそうはならないように、ちょっと気をつけてみようと思いました。

ナガオカケンメイの考え
ナガオカケンメイの考え
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2008/06/20

おれは洗濯バサミが好きすぎる。

タンブラーをやっていて禿しく気づいたことのひとつです。

まぁ、とりあえず見てみてください。

Google Pinned Siamo appesi ad un filo Perchers

どうでしょうか?

どこかファニーだったり、ほんのりと哀愁が漂っていたり、ビビッドな色で元気な感じもいいし、雨にさらされて劣化して色がが抜けてしまった感じもいいです。
日本ではプラスチック製のものが多いようですが、海外では木製のクラシカルなものも多いようで、これがまたいい感じです。
木製のものと同じデザインで素材がクリアなプラスチックのものもあって、これもなかなか捨てがたいです。
それから、日本では布団をはさんだりするために物干し竿ごとつかめるようなタイプがありますが、こいつがまたいい味出してます。

そんな洗濯バサミたちが、洗濯ロープに仲良く並んでぶらさがっていたり、青空の下でからっと乾いたTシャツをはさんで誇らしげにしていたり、雨に濡れて寂しげにしていたりする姿が好きすぎる。

最近 Flickr の検索ではイチオシの下のサイトで

clothespin といれて検索すると他にもたくさん出てきます。

同士求む!(特になにするってわけでもありませんが。)

 

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2008/06/08

チンクエ・テッレに思うこと

もうだいぶまえのことだけど、今年始めに買ったハードディスクレコーダーが大活躍してくれてるおかげで、テレビでこんな番組を見ました。

そのちょっと前に「TrekEarth」でこの土地のきれいな写真を見ていて、とても気になっていました。

ほんの少し前までは船でしかアクセスすることにできなかった、断崖絶壁の下のわずかな土地に、ひしめくように建つパステルカラーのかわいらしい建物のあいだを、迷路のような道が入り組んでいて、そんな道を歩いていると突然ウソみたいに景色が開けて、真っ青な地中海が眼に飛び込んでくる。そんな街並み。
毎年たくさんの観光客が世界中から集まってきて街をにぎわせる。

断崖の岩場にそこの岩を階段状にして積み上げ、そうしてできたわずかな平地に、そこの岩を砕いて作った砂や土を盛って、ウソみたいな苦労をしてできあがった葡萄畑。岩を積み上げて作った堤は崩れやすいので、補修し続けなきゃならない。その畑で取れた葡萄で作ったワインは王侯貴族がテーブルに置くことを誇りに思うような、希少価値の高い絶品。

そんなふうに苦労は多いけれど、土地の人たちで力を合わせて、美しい街の景観や、誰にも誇れるような産物を生み出して、そこに住む人々はそこでの生活を誇らしげに楽しんでるように見えました。

僕はいま、旭川市のはずれの農村部に住んでいて、大雪山の景色がきれいで、旭川では比較的雪の少ないところで、のびのびと暮らせるいいところなのですが、そこでは高齢化や人の流出が大問題になっています。
なんとか移住者を増やそうと活動していますが、都市計画法や農地法の制限によって、移住者のための住宅を新築することは困難で、空き家を貸したり譲渡したりするのも、所有者がメンテナンスなどのその後のゴタゴタを嫌ってでてこないのが現状で、その一方、躍起になって活動している人達の子供たちは職場がが旭川市内であっても、結婚すると市内近郊の住宅地で暮らしていたりします。

そんなことを考えながら「チンクエ・テッレ」の番組を見ていると、最後に、ずっと密着して話を聞いていた葡萄農家の夫婦が、自分たちの子供たちも、ここでの苦労の多い暮らしを嫌って街へ出て行ってしまって帰ってこない、と嘆いていました。

あぁ、ここでさえもそうなんだ、と、ちょっと複雑な気分になりました。

2008/06/06

フィードリーダー的便利ツールが普及するために

もう10年くらいまえのこと。

まだ Mac OSX がリリースされる前で、でもそのプレビュースクリーンショットなどの漏れ伝わってくるいろんな情報に魅了されて、自分の Mac OS9 のルック&フィールを OSX 化するために、デスクトップピクチャやアイコンやいろんなフリーウェアを貪るように集めていたことがあります。

マック雑誌に載っているアドレスを打ち込んで、そんな情報を配布しているサイトにたどり着き、またそんなサイトつながりでいろんなサイトを発見してよろこんでました。

そのころはブラウザに登録したブックマークを定期的に巡回するしかありませんでした。でもたいした量じゃなかったし、回線も今ほど速くなかったのでそれほど困りはしませんでした。

思えばあれがすべての始まり。

その後はてなアンテナの存在を知り、その便利さに驚愕しました。
ローカルのブックマークを全部そっちへ移しました。どこにいても自分のブックマークにアクセスできるし、サイトが更新されたことを教えてくれます。
そのころからだんだんと巡回するサイトが増えてきたような気がします。更新されてることを知ったら見に行かないわけにいかないし、みたいな。
Web Patrol みたいなインストール型の更新チェッカーなんかも使ったりしました。

そのうちにフィードリーダーが登場しました。もう「な、なんだってー?」ってくらい便利で驚きました。
最初は Bloglines。そのあと Firefox にインストールするヤツを使ったり、はてなRSS を使ったりして、今は livedoor Reader を使ってます。

そんなステップを踏んで、いまではすっかりフィードリーダーのヘビーユーザーといっていいでしょう。情報ジャンキーといってもいいかもしれません。

フィードリーダーは、文句のつけようがないくらいに便利なツールだと思いますが、いまその存在さえも知らない一般の人たちが、僕がこれまでに踏んできたステップを全部すっ飛ばして、その便利さに魅了されて使い始めるためには、特別な何かが必要なことはわかると思います。

僕は最初「Googleがデザインするときに大切にしている10個の原則」にある

3.シンプルにすると強力になる
4.初心者ユーザーを引き込み、上級者ユーザーを魅了しろ

あたりが重要なんだろうと思っていました。でも、そんなポリシーで開発されてるはずの Google Reader は Google の思惑通りに普及しているかというとそうではありません。

ところで、ちょっと前まで一般ピ-ポー的にウェブでの検索といえばヤフーでした。
それがここ最近グーグルを使う人が増えてきて、というかグーグルという言葉がふつうの会話の中にチラホラあらわれるようになってきて、その原因を考えてみると、たぶん、テレビ番組の「都市伝説」のコーナーで「Google Earth」が取り上げられたからではないかと思います。
あの番組の直後にこのサイトの「Google の Earth 関係がおもしろすぎる」という記事へのアクセス数が急激に増え、それ以来コンスタントにアクセスがあります。

そんなふうに、一般ピ-ポーの動きの発端はかなり下世話なことが多いことに気がつきます。「強い欲求があれば、ユーザーは複雑さという壁を乗り越える」にあるように、「エロ」は強力なツールです。livedoor Reader あたりでも、「おすすめフィード」とかで「人気のエログ特集」なんかをやると、グンとユーザー数が増えるのかもしれません。

2008/06/04

音色

坂本龍一さんがどこかのインタビュー記事でこんなことを言っていました。

「作曲や編曲の作業は比較的早く終わるんです。一日中スタジオにこもって、場合によっては何日もかかって何をしているかというと、その曲にピッタリな音色を探しているんです。」

シンセサイザーという楽器を使っている以上、生の楽器とは違って音色は自分でいくらでもつくることができます。その曲が浮かんだときに頭の中に流れていた音色を再現するため、納得がいくまで作業をするということなのでしょう。

なかなかスゴい話だなぁと思いました。

KICK THE CAN CREWの活動を休止し、ソロ活動に入った KREVA が初めて発表したメジャーレーベルからのシングルが「音色」でした。
坂本龍一さんの話を聞いたあとだったので、とても興味深かったです。
そこで気づいたのが「音色」という言葉が持つ音の響き方の不思議さです。いいかえれば「音色」の持つ「音色」の不思議さです。

「音色」を恋人のように擬人化したリリック。素晴らしく心地よく韻が踏まれ、キメの「二人 深い世界でハイになる」では背筋が凍りつくほどスゴい歌詞だと思いました。

最近、なにかの音色に耳を澄ませたことがあるだろうか?

音色
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