2008/06/08

チンクエ・テッレに思うこと

もうだいぶまえのことだけど、今年始めに買ったハードディスクレコーダーが大活躍してくれてるおかげで、テレビでこんな番組を見ました。

そのちょっと前に「TrekEarth」でこの土地のきれいな写真を見ていて、とても気になっていました。

ほんの少し前までは船でしかアクセスすることにできなかった、断崖絶壁の下のわずかな土地に、ひしめくように建つパステルカラーのかわいらしい建物のあいだを、迷路のような道が入り組んでいて、そんな道を歩いていると突然ウソみたいに景色が開けて、真っ青な地中海が眼に飛び込んでくる。そんな街並み。
毎年たくさんの観光客が世界中から集まってきて街をにぎわせる。

断崖の岩場にそこの岩を階段状にして積み上げ、そうしてできたわずかな平地に、そこの岩を砕いて作った砂や土を盛って、ウソみたいな苦労をしてできあがった葡萄畑。岩を積み上げて作った堤は崩れやすいので、補修し続けなきゃならない。その畑で取れた葡萄で作ったワインは王侯貴族がテーブルに置くことを誇りに思うような、希少価値の高い絶品。

そんなふうに苦労は多いけれど、土地の人たちで力を合わせて、美しい街の景観や、誰にも誇れるような産物を生み出して、そこに住む人々はそこでの生活を誇らしげに楽しんでるように見えました。

僕はいま、旭川市のはずれの農村部に住んでいて、大雪山の景色がきれいで、旭川では比較的雪の少ないところで、のびのびと暮らせるいいところなのですが、そこでは高齢化や人の流出が大問題になっています。
なんとか移住者を増やそうと活動していますが、都市計画法や農地法の制限によって、移住者のための住宅を新築することは困難で、空き家を貸したり譲渡したりするのも、所有者がメンテナンスなどのその後のゴタゴタを嫌ってでてこないのが現状で、その一方、躍起になって活動している人達の子供たちは職場がが旭川市内であっても、結婚すると市内近郊の住宅地で暮らしていたりします。

そんなことを考えながら「チンクエ・テッレ」の番組を見ていると、最後に、ずっと密着して話を聞いていた葡萄農家の夫婦が、自分たちの子供たちも、ここでの苦労の多い暮らしを嫌って街へ出て行ってしまって帰ってこない、と嘆いていました。

あぁ、ここでさえもそうなんだ、と、ちょっと複雑な気分になりました。


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