2004/12/20

ニート フリーターでもなく失業者でもなく

 梅田望夫さんの新刊書評より
 「すべての公立中学校で、すべての十四歳、すべての中学二年生を対象に、五日間の職場体験が続けられている」兵庫県と富山県を、ノンフィクションライターの曲沼美恵は「奇跡のような県」と呼び、この二県で定着したこの政策を全国展開することが、ニート増加防止策として急務だと説く。

 私が痛感するのは、ニートも含めて、自分の人生のビジョンを描けないでいる人が多すぎる、ということです。これはニートでない人たちにもたくさんいると思います。

 人間は、人生の中で少なくとも一度は、自分の存在意義を疑うことに直面します。その機会は出来るだけ早い時期に訪れた方が良いと思います。できれば中学生くらいまでには一度考えた方がいいと思うのです。自分の性格や能力を良く見つめ、自分が社会の中でどんな位置付けとして存在していくのか、自分は何をやりたいのか、自分は何ができるのか、何が得意なのかをよく考えるのです。他人の意見を聞きながら、自分自身で判断しなければなりません。そのうえで自分の将来のビジョンを描き、それに向って努力をしていくのです。
 
 それをすることによって、その後の人生は大きく変わるはずです。しかしこれは簡単なことではありません。たくさんの人の人生を深く見つめ、たくさんの本を読み、自分自身についての客観的な意見を集めたうえで、インターネットなどで適切な情報を収集し、さらにこれを何度か繰り返さなければなりません。

 進学や就職など、自分の進路を決める前にこれをするべきです。また、自分の現在の状態と、過去に自分が描いたビジョンとの間にズレが生じたときは、自分が納得できる方法で、現状かビジョンのどちらかを修正しなければなりません。

 社会や学校、家庭で行われている教育はすべて、この判断をするためだといっても過言ではないとさえ思っています。上で引用した兵庫と富山の活動はとても直接的でわかりやすいだけで、全ての教育は、自分の進路を自分で切り開いていくためのものなのです。

[Society]


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