2005/12/16

過疎化が日本を蝕んでいる

 昨日、「クローズアップ現代」で「故郷が消えていく」というのがやっていました。

 私は大阪近郊の都市部から北海道旭川市の近郊農村部に引っ越してきて3年目になり、「地域の小学校が廃校にならないためにはどうしたら良いか」とか「農家の空家をなにかに活用できないか」などという話題が日常的にかわされる環境にいるので、とても興味深く見ることになりました。

 番組の中で、過疎化が認められる市町村がピンク色に塗られた日本地図が登場したのですが、国土のおよそ80パーセント近い部分が過疎化していることがわかり、愕然としてしまいました。これはもう過疎化している地域それぞれの問題ではなく、日本全体の問題であることが良くわかりました。つまり、国や各自治体が策定している都市計画に問題があるということです。

 日本の都市計画は、1898年にイギリスのエベネザー・ハワードが提唱した「田園都市論」に大きく影響されています。各地域がこの理論に基づいて都市計画をし、それぞれちゃんと成功させていれば、これほど理想的なことはないのですが、実際には各自治体が自分勝手に都市計画を行い、自分のところの税収を増やすために利己的に動き、市民は仕事や利便性を求めて盲目的に都市部に集中してきました。
 ひとつの自治体の中で、農村部の過疎化を促進させる政策と、その農村部に移住者を呼び込もうという政策が同時に進行したりしているのが現状です。

 考えてみればすぐにわかることですが、都市部に人口が集中し周辺がどんどん過疎化していって良いことはひとつもありません。それを食い止めるためには都市近郊の農村部での快適な生活が保障されなければなりません。
 しかしそういった切実な問題意識は、実際に過疎化の進む地域に住む人間にしか芽生えないのかもしれません。国家レベルでの政策転換が必要なのですが、そういった政策を作る人たちの多くが都市部に居住しているのです。
「東京と地方の差をきちんと意識した上で考えなきゃいけない。東京にいると見えないことたくさんあるよ」的なことを言ってきたつもり

 という「音楽配信メモ」の津田大介氏が「iPodが流行っているように見えるのは東京に住んでるから?」という記事を書いてかなり攻撃をされているようですが、私には「穏やかな日々 - 津田大介氏(id:ozric)にマジレスをもらったので返信」で述べられている意見のほうがしっくりきます。

[Society]
 


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