2005/05/20

民営化

 田口ランディさんの「郵政民営化って何なのよ?」という記事を読んで考えてしまいました。

 この前テレビを見ていたら、尼崎のJR事故のニュースの後、この事故の問題点について意見を求められたコメンテーターがこんなことを言っていました。
 「問題の根本は国鉄の民営化にある。民営化されれば営利主義に走るのは当たり前だ。これは避けられない。営利主義に走ったことで、このような事故が起こったのだ。」

 このコメントの後でまわりにいたキャストの皆さんが口をあんぐりと開けてしまったことは言うまでもありません。ちゃんと運営している私鉄があることを考えれば、このような意見は間違っているように思います。しかし、このような話もあります。
 
 昔、関西で小さな小さな鉄道会社を経営する社長さんのおはなしを聞くことがありました。その人曰く、「鉄道会社なんて儲かりません。いかに赤字にならないようにしながら長く続けるかがポイントです。ボランティアみたいなもんです。」
 この社長さんは鉄道の他に経営している別の会社が儲かっているので大丈夫なのだそうですが、他の大きな私鉄会社がどうなのかというと、儲かっているのは鉄道事業ではなくて沿線に建設した百貨店や不動産事業なのだそうです。鉄道事業は会社にとって広告塔としての役割でしかないのだそうです。

 設立当初から国鉄時代の赤字を背負い込まされ、さらに、その赤字をどんどん増やしていく赤字路線も抱え、そして他の鉄道会社が利益を生み出している別事業のノウハウをまったく持たないJRは、とてもつらい立場にあります。

 こうやって考えていくと郵政民営化にも疑問が湧いてきます。NTTもここへきて、かなり行き詰まってきているような気がします。
 ボランティア性の強い社会インフラ整備的な事業は国が運営していた方がいいのではないでしょうか。本当の問題はそこに発生した利権に大勢の人たちが群がるシステムなのかもしれません。

[Society]
 


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