2008/12/27

頭がいいとか悪いとか

最近ちまたで話題になっているようなので、ちょっと思うことを書いてみます。

僕は昔からこの言葉があんまり好きじゃありません。

これは結局、言い訳のために生まれた言葉だと思うのです。

なにかやってもできなかった人が、それを自分が生まれつき「頭が悪い」せいにしたり、自分がやってもできなかったことを人が軽々とやってのけるのを見て、そのひとの「頭がいい」からだと考える。この言葉は、なぜだかこういうときにしか使われないような気がします。

ずっとまえに「勉強のこと」で書いたように、勉強や、あるいはテストでいい点を取るという分野は、芸術やスポーツなどの分野とくらべると、持って生まれた才能に左右される範囲がずっと狭いのです。

そこで自分は「頭が悪い」からとか、あのひとは「頭がいい」からなどといって自分を卑下し、自分自身をあきらめてしまうのは、とてももったいないと思うのです。とにかくがんばればがんばった分だけ、ちゃんと結果にあらわれてくる分野なのです。もって生まれた「地頭のよさ」なんてのも多少はあるでしょうが、そんなのほとんど関係ないくらい努力が大きく反映されます。

だから。

そのことばはできるだけ使わないほうがいいと思うのです。

2008/12/26

風のガーデン ~ 「演じる」ということ

もう1週間以上たってしまいましたが、ドラマ「風のガーデン」終わりましたね。僕は最初ちょっと毛嫌いをしてみてなかったんですが、途中から見てすっかりハマり、それからずっと見てました。

これから先はネタバレしますので、まだ見てなくてこれから見てみようという方はご注意ください。

最終回。余命の短い貞美(中井喜一)のために開かれたウソの結婚式。
貞美を喜ばせるためにみんなで仕組んだことなんだけれど、「結婚式をするから出席してほしい」という話をしたときから、貞美はそれがウソの結婚式だと感づいていたし、みんなも貞美が気づいていることを薄々感じていました。
それでもみんな、それぞれの役を真剣に演じ切ります。
バージンロードを娘といっしょに歩きながら、貞美は感激で涙を流します。

それは、とても感動的なシーンでした。

そして、「あ、これでいいんだ。」と気づきました。

仲のいい家族を演じる家族がいます。おしどり夫婦を演じる夫婦がいます。気の合う友達同士を演じる友達がいます。そのことに気づいている場合もあれば、まったく気づかずにそうなっている場合もあります。
なんだかちょっと薄ら寒い感じがしますね。あんまりそうはなりたくないなぁ、と思います。そんなこと続けても、いい結末は待っていないような気がします。

でも、その行為そのものは否定しちゃいけないような気がしました。

「演じる」という行為の発端に「好意」があるのなら、それをお互いに演じ切ることで、ギリギリのバランスで良い結末に結びつくような気がします。演じ続けることで、冷え切っていた心の一部が溶けてくることもあるような気がします。

多かれ少なかれ、誰もがみんなそれぞれ、それぞれの場面でそれぞれの役割を演じているような気もします。

それならそれでいい。演じ切ってやろうゼ。

2008/12/12

青い空

つきぬけるように晴れわたった青い空が、とても深い悲しみを表現することがあります。あるいは、悲しみを増幅する、といってもいいかもしれません。

そのことに気づいたのは、中学生にころに高橋幸宏さんの「What, Me Warry」のなかに収録されていた「サヨナラ」という曲を聴いたときです。

こんなにいい天気に キミにサヨナラ

悲しい気持ちに強い陽射しが突き刺さってくるような、そんなことがあるのかもしれないなぁ、と、わかったような気になった自分に、自分自身がちょっと驚いたのを覚えています。

スガシカオさんの「青空」という曲にこんな歌詞があります。

今日の空 宇宙まで突き抜けそう

失恋の傷が癒えはじめた主人公が、青い空を見つめたのを契機に、過去の思い出をフラッシュバックさせて、相手の気持ちを思い図ります。

What,Me Worry?
What,Me Worry?
  • アーチスト: 高橋幸宏
  • 発売元: Sony Music Direct
  • レーベル: Sony Music Direct
  • 価格: ¥ 2,023 (12% OFF)
  • 発売日: 2005/03/24
  • 売上ランキング: 5119
  • おすすめ度 4.5
青空/Cloudy
青空/Cloudy
  • アーチスト: スガシカオ
  • レーベル: キティMME
  • 発売日: 2002/01/17
  • 売上ランキング: 119189
  • おすすめ度 4.5

2008/12/11

あの味

よく行くカレー屋さんがあります。

その店のメニューにはいろんなこだわりカレーがあるのですが、いろいろ試してみた結果、僕が必ずオーダーするのはタイ風のイエローカレーです。ココナッツミルクの甘いコクと、さまざまなスパイスが生み出す香りと辛さが絶妙に絡みあって、定期的にどうしても食べたくなる味です。
ここのイエローカレーは行くたびにちょっとずつ変わっているのが楽しいです。関西風のきつねうどんのような味付けの油揚げが入っていたり、香草の種類が微妙に変わっていたり。お店のご主人のあくなき向上心を感じてうれしいです。
それに本棚においてあるコアなセレクトのマンガを読むのも楽しみの一つです。

この前家族で買い物にいったときに、コーヒー豆やいろんな国のレトルト食材やスパイスのお店があって、そこでイエローカレーのもとを見つけました。それを買ってきて家内につくってもらいました。でもあの店の味は出ないよなぁと思って食べてみたら、思いのほか近い味が出ていてビックリしてしまいました。

よく行くラーメン屋さんがあります。

そこのラーメンはしょうがラーメンといって、刻んだりおろしたりしたしょうががスープに混ぜられていて、あっさりサッパリしているのが特徴です。二日酔いのときなんかはピッタリで、いつもスープまで飲み干してしまいます。

この前うちで家内がつくってくれた半生麺のしょうゆラーメンを食べながらそのラーメン屋さんの話をしていて、ふと思いついて冷蔵庫のチューブ入りしょうがを絞ってスープに混ぜてみたら、そこのラーメンにかなり近い味になってしまってビックリしてしまいました。

ちょっとまて。こんなに簡単に「あの味」が出てしまっていいのか? ものすごく試行錯誤をしながら生み出されたはずの「あの味」。僕の中で「あの味」の価値がちょっと下がってしまった気がしました。

しかし、それでもやっぱり「あの店」には通ってしまう。