2005/07/09

経済中心主義の終焉

 この前NHKでやっていた年金問題や少子高齢化問題、働く女性の問題などをテーマに議論する番組で堺屋太一さんがこんなことを言っていました。
 
 「この問題について議論するとき、経済のことが主題になっているといつまでたっても結論にはたどり着かない。それぞれの言い分が交錯するだけだ。経済中心に物事を考える時代は終わりました。これからは文化中心に考えなければならない。」
 
 堺屋さんは現在の経済的満足を重視する社会から文化的満足を重視する社会に転換しなければならないと提言していました。番組中、堺屋さんは何度も何度もこの発言をしましたが、番組の構成上この提言について深く議論されることはなく、あるテーマの議論の最後に堺屋さんがこの発言をし、すぐ次のテーマに移っていくという具合でした。ここが一番大事なところのように思えてならなかったのですが。
 番組の最後の方でドイツに長期間住んでいたという女性が、日本ではいくらお金があっても豊かな生活はできない、という意味の発言していました。そうなのかもしれません。

 番組の中で少子高齢化の結果、何年か後には人口減少が始まり、ついには経済縮小が始まる、と危機感を煽っていました。日本では戦後以降これまでずっと経済発展を重視して国策が建てられてきました。経済発展なくして国の未来はない、という思想をいつの間にか植え付けられてしまっているような気がします。確かにこのまま国民がみんな経済中心主義の考え方を持ちを続ければ経済縮小イコール国家の破滅なのかもしれません。しかしこのまま人口が増え続け経済が発展し続けることはありえません。いま経済から文化への転換をしなければ破滅へむかってつき進むことにならないでしょうか。

 日本は昔、世界でも有数の清貧の文化をもつ国でした。うまく転換できるような気がするのです。

[Misc.]
 


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