2007/06/22

Copy とか Copyright とか

レコードやカセットテープ、ビデオテープやフィルムの時代。複製は必ずオリジナルよりも劣化しました。そういう意味で、オリジナルはコピーに対して明らかな優位性がありました。おそらく著作者も出版元もレコード会社も、ある意味安心していられた時代でしょう。

しかしCDが登場し、DVDがあらわれ、CDRやDVDレコーダー、HDレコーダーが普及しはじめて、感覚的にはほぼ劣化なしにコピーをつくることができるようになりました。最近はCDを買ってきたらすぐにリッピングしてパソコンに取り込み、CDそのものはブックオフへ売ってしまうという人も増えているそうです。
極論をいえば、CDやDVDなど「モノ」の価値が急激に下がってしまい、音楽であれば、その楽曲そのもの、あるいはその楽曲がつくり出すグルーブ感や高揚感、そしてその楽曲を生み出したクリエイターをリスペクトする気持ちなど、「モノ」ではなく「コト」と呼ぶべきものだけが残ったのかもしれません。

アナログからデジタルへの転換のなかでこのような変化があったわけですが、技術の進歩はとどまることを知らず、今日、この記事を書くきっかけとなったニュースがありました。
いま建築の世界では、先端を行く建築家たちによって3Dモデリングが盛んに行われています。スタディーから詳細設計の一歩手前までが3Dモデラーで行われたり、その途中で精巧に作った模型をレーザー光線で3Dマッピングしてデータ化したものを図面化するような手法がとられていたりもします。ゲーリーのビルバオ・グッゲンハイムなどがそうです。
このままの勢いで技術の進歩が加速していけば、そう遠くない将来「立体コピー機」なんてものが登場するような気がします。そのコピーは、触覚や嗅覚を含む五感すべてを満たしたバーチャル空間に存在するものかもしれません。
普通の会社の普通の係長補佐とかが、できあがった商品の立体コピーに触りながら「このコピー機、質感の再現力がもうひとつだよなぁ」なんてつぶやく日がきそうな気がします。

Copy とか Copyright とかについて考えるとき、そんな将来のことも頭の片隅においておくといいような気がします。もしそんな日がきたら、今度はいったい誰が安心していられなくなるんだろう。


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