「ふわり」と「さらり」と
この前ちょっと奮発して、いつも通りかかるとお客さんがいっぱいで、いかにも流行ってる感じで気になっていたレストランでランチを食べました。チキンをトマトソースでグリルした料理を食べました。とても満足できる料理でした。
いっしょに皿に盛られたライスが付いてきたのですが、久しぶりにナイフとフォークで食べてみました。ファミリーレストランなんかでハンバーグランチを食べるときは、ハンバーグが箸でも切れることもあって、あんまりがんばらずに箸を使いますからね。
フォークの背にライスを乗せて、口へ運ぶあいだに落ちてしまわないようにナイフでギュッとフォークに押し付けて。こうやって食べるライスは、たぶん日本人的にはあんまりおいしくありませんよね。あくまでもライスであって、ごはんじゃないって感じ。茶碗に「ふわり」と盛ったごはんを、箸で「ふわり」と食べるのが日本人です。ごはんの粒と粒のあいだの空気もいっしょに食べて味わう感じ。
むかし読んだマンガ「美味しんぼ」に、握りずしのシャリに適度に空気が入るように握るのが一流の寿司職人だと書いてあったのを思い出しました。ごはんのひと粒ひと粒を味わうのだそうです。
さらに思い出したのが、あるファッション評論家が言っていたこんな言葉。
「日本人のTシャツの着方は、大きめのサイズを着物みたいにふわりと着ます。裾をひらひらさせたりもします。欧米人の着方はその逆で、ピッタリサイズをぴたっと着ます。」
日本人が、鮮やかで洗練された動きを評して「ふわりとした身のこなし」ということがあります。これによく似た感覚で、鮮やかなお手並みを表して「さらりとやってのける」という言葉があります。
「ふわり」とか「さらり」は日本人に独特な美的感性なのかもしれません。
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