2006/06/21

はてなブックマークの日本的役割

 以前「ウェブに文章を書くということ」という記事を書きました。
 そのなかで Heartlogic さんの「ブログは新しいインフラでありプロトコルになった」という記事を取り上げました。

 ここで指摘されている「ゆるいコミュニケーション」とか「心の消費カロリー」とかって概念が素晴らしくて、日本のブログやソーシャルネットワーキングサービス、ウェブ掲示板などにおけるサイバーコミュニケーションを理解するのに、これほどストンと分かりやすいものはないと思っています。
 
 アメリカで登場したブログというツールは、トラックバックという、それまでになかった新しい機能を搭載したことによって爆発的に流行しました。あるブログのある記事と、その記事に対して言及した自分のブログの記事とを結びつけ、記事の筆者同士が積極的なコミュニケーションをはかるための機能でした。
 しかしそれは、ブログ運営者のほとんどが本名と自分の顔写真をサイドバーのトップに掲示しているアメリカにおいてのことでした。

 しばらくして日本でもブログブームが起こりました。やはり起爆剤はトラックバックだったように思います。しかしウェブ上では匿名でいることが一般的な日本では少し様子が違いました。 ゆるいコミュニケーション「ゆるコミュ」を実現するためのツールとして機能し始めたのです。「ゆるコミュ」どころかコミュニケーションなどまったく取る気もく、自分のサイトへのリンクを増やすためだけのトラックバックなんかも目立ち始めました。

 次にアメリカで del.icio.us というソーシャルブックマークサービスがブレイクしました。もともとブログとはウェブで見つけた気になる記事について記録(ログ)を残しておくものであったことを考えると、ソーシャルブックマークはブログのエッセンスを抽出したものだといえなくもありません。このログが驚くほど簡単に残せるようになったわけです。

 しばらくして日本でも「はてなブックマーク」が登場しました。最初はいわゆるソーシャルブックマークだったのですが、コメント機能が強化された頃から、これも「ゆるコミュ」のためのツールとして機能し始めました。今では、特にヘヴィーなはてブユーザーにとっては、ソーシャルブックマークとしての機能よりも「ゆるコミュ」のためのツールとしての機能のほうが重要になっているかもしれません。

 「ゆるコミュ」度の高さ、すなわち「心の消費カロリー」の低さを指標に並べてみると、

 はてブ>トラックバック>ブログへのコメント書き込み>掲示板への書き込み>筆者への直接メール

 となります。

 面白いですね。でもちょっとゆがんでますね。

 そういえばこの前、梅田さんが「週刊東洋経済TKプラス | Key Personプラス」でこんなことを言ってました。
グーグルは「われわれは邪悪なことをしない」と言っている。それに対する反応は、アメリカなら「若い連中が格好いいことを言っているな」くらいのものです よ。ところが日本では、「『われわれは邪悪なことをしない』と言っていながら、あの中国でやっていることはなんだ」という論調になるわけだ。実際は期待な んかしてない人が、ほんのちょっと齟齬をきたしたことに対して、ワーッと言ってしまう。がっがりしちゃうよね、ああいうのを聞くと。それはメディアだけ じゃなくて。僕が1万件ぐらい読んでいるブログやSNSの書き込みの中にも、何パーセントかある。影のところにスポットライトを当ててはいけないわけでは ないけど、バランスを著しく欠いている意見というのがあると思いますね。よくわからないけど、日本だけかもしれないよ、こんなことが起きるのは。もし日本 だけだとすると、結構深刻な問題だと思うな。

 ちょっとヤヴァいのかも。

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